少し前の記憶。
その緑は美しかった。
今しかない、と言わんばかりに葉をつけた木の枝に
くるくると忙しない小鳥がとまり、何かを歌っていた。
それは『生命を喜び』、なんてクサイ言葉もすっと馴染むような
そんな景色だった。

偉い人は言った。
「ここは人工林だから本当の自然なんかじゃない。」
小さい頃の僕には理解できなかった。

こんなにも自由に、日を、雨を、浴びて
こんなにも自由に、葉を、枝を、つける
この緑を「自然」と言わずに、何を自然というのだろう。

自然になれなかった緑は、
「おかまいなくう。」と言うかのように、緑を奏でていた。



緑。それはただ、美しい緑。
今日、僕は時速50キロの四角い箱にのって、音のない緑をみていた。
一般人の僕には、何も、何も、理解できなかった。

偉い人は言った。
「ヒトが間違いを犯す、これは自然なことです。」


五感を夢に落とした。
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